▶ 大山 曜(おおやま よう) ZIZZ STUDIO所属・サウンドプロデューサー 作曲・編曲家、録音・ミキシングエンジニアとして幅広く活躍、歌姫の楽曲ではギターとベースの演奏も担当している。 ・お気に入りの曲:悪果/富士葵 | |
▶ 川住かつお(かわすみ かつお) ZIZZ STUDIO所属・作詞家 【フェアリーフェンサー エフRefrain Chord】では、歌姫楽曲12曲の作詞を担当。 ・お気に入りの曲:影と境界/海月咲希 | |
▶ 江幡育子(えばた いくこ) ZIZZ STUDIO所属・作詞家 【フェアリーフェンサー エフRefrain Chord】では、監修、制作進行。 歌姫楽曲の【燐火/織田かおり】のラテン語監修も担当。 ・お気に入りの曲:燐火/織田かおり | |
▶ 北野 誠(きたの まこと) コンパイルハート・プロデューサー ・お気に入りの曲:祈りの音色/石川由依 |
- ――作っていて楽しかった曲、難しかった曲はありますか
- 川住
- 海月咲希さん(仮面女子)が歌ってくださった【影と境界】は、デモのときから聴いてて好きだなぁと思い、書いていて楽しかったです。
歌詞を書くのは全部難しくて、最初の方を基準にして書くので後半になるにつれて手が出せなくなっていく。制作中は黒1~6というようにナンバリングしてたんですけれども、数字が若い曲は日本語が成立しているというか、詩としての完成度みたいなのがちゃんとしてる(笑) - 大山
- 後半は逸脱してる?
- 川住
- 「白はポジティブ、黒はネガティブ」というのがあって、使える言葉も違ってくるんですね。それらを考えつつ、母音を合わせ、世界観からも逸脱せずってなってくると、だんだん言葉が散り散りになっていくような感覚があって。グラースの方はいかつくしても大丈夫って空気があったんですが、フルールのほうは親しみやすさが必要と言われて、じゃあ難しすぎる言葉は使えないし、変な表現も入れられないなっていうところで悩んだりもしました。
なので、白の方は6までいってもわかりやすい言葉で構成されていますが、黒6とかになってくると普段聞かないような難しい言葉ばっかりで、歌うのも大変だろうなと。 - 大山
- 皆さん驚いていたよね。僕も全然見たことない漢字ばっかりでした。
作詞の差別化がすごいです。 - 北野
- そうやって全体のバランスを見ていただいたので、歌声も勿論、楽曲からすごくパワーを感じて、個性がしっかり出たなと思いました。
- 川住
- 皆さん言葉が届くように意識して歌ってくださったみたいで。
本当に頭が上がらないですね。 - 大山
- どの方もすごく楽しそうに、でも気合を入れて歌ってくださった感じがしました。
こういう時、最初にさらっと歌ってもらって「キャラクター大丈夫ですか」などの確認を制作側と確認しつつ色々探るんですけれども、皆さん家でしっかり作ってきてくださって「あ、こちらは何も言うことございません。好きなように歌ってください」みたいな感じで。本当に収録は楽でしたね。 - 江幡
- すごい歌い手さんばっかりでした。神キャスティング。
- 大山
- 苦労と言えば『キー』ですよね。普通は「もう半音上・下を試してみたい」という話になるんですけれど「ごめんなさい、今回は12人一緒のキーでお願いしています」ということで。
中には「上がきつい下がきつい」という方もいたと思うんですけれど、実力のある方たちなので問題なく歌いこなしていただけました。 - ――歌唱担当者への曲の割振りなどをどのように決めましたか。
- 大山
- まずキーを考えつつ「これは上を張って歌える人」「白と黒のキャラクターのどっちが合うか」とか、北野さんと話し合いつつ決めたと思います。
その辺はもうキャスティングが素晴らしかったので、割とスムーズにいきましたよね。 - 北野
- あとは、その方の今まで歌われてきた曲なんかも聴きながら、イメージをすり合わせていきましたね。
- 大山
- うまくハマったんじゃないでしょうかね。
- 北野
- それは、すごくそう思いますね。
曲と歌詞があって「すごくいい曲」と思っていたんですけれど、歌が入ったら更に個性がプラスされているというか。相乗効果がすごいなと思って。「各々がオンリーワンの楽曲になって帰ってきた!」という印象があって。 - 大山
- 玉置成実さんが「最近は楽しい曲が多かったけれど、こういう、ハードな曲やりたかったんですよね」と、楽しそうに歌ってくださいましたね。
- 川住
- ベテラン歌手の方からVTuber、アイドル……いろんなタイプの方がいらっしゃって。
やっぱり畑が違うと歌い方が違いますよね。それがすごい面白いなぁと思って。 - 北野
- 歌い方が違うというのは?
- 川住
- nicamoqさんは本当、他の方とは全然違いますよね。
- 大山
- オンリーですよね、発声とかが違っていて。個性的ですしね。
- 川住
- 声質とかもそうですし。
海月咲希さんもうまく言えないですけど、「ああ、なるほど」というか。仮面女子というバックグラウンドがわかるというか。それが結構面白かったですね - 北野
- そういうところが、楽曲にも還元されていったのかもしれないですね。フルール役とグラース役にも、歌をしっかり歌ってこられた石川由依さん、日笠陽子さんをキャスティングできましたし。
- 大山
- お二人も素晴らしかったですね。
音域も「これ、ここまで出してもらえますか」というのを、皆さん問題なく下から上まで出せる人ばっかりでした。
それからコーラス。皆さん早いもんで、どんどん録れましたね。本当に実力派揃いで、安心して聴いていられる現場でした。 - 江幡
- 楽曲制作は大変でしたが、収録は安心してできましたね。もう何も心配ないと信じられるというか。
- 大山
- あとは収録の最後に皆さんのコメントを録ったんですね。そのときに、印象に残った歌詞を皆さんが言ってくださって。「ああ、なるほどな」って思いながらいつも聞いてました。
- 川住
- コメント出るの楽しみですね。
- ――今回の楽曲制作においてチャレンジした点や楽曲に入れた「遊び心」などについて
- 大山
- マンネリという言い方は申し訳ないんですけれども、ゲームやアニメの仕事をしていると「主題歌らしい曲で」「アップテンポの」「誰もがサビで盛り上がれるような」という「こういった曲にしてほしい」がまずあって。
今回も、そういう曲はあると思うんですけれども、12曲それぞれ差別化を図るにつれて、いろんな冒険をしているところはありますね。 - 北野
- 例えばこういうジャンルとか曲調はどうですかって、提案いただきましたよね。
- 大山
- 【影と境界】ですね。あの曲はEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)という感じです。BPM196の少し早いテンポで、普通はこのテンポではやらないんですけど、その中で倍に乗るようにやってみました。
あとは、米倉千尋さんの【狂火繊月】では、黒の曲なんですけれどマイナーな音階ではない、微妙で危ない音階をいっぱい使って冒険はしてますね。そこを、米倉さんもオドロオドロしい感じに歌ってくださって。
それが普通のバラードと合体するときに音階を修正したりするんですけれども、そこが驚きに満ちた合体になっていたりとか。こだわりで作った点かもしれませんね。
歌詞で「共鳴」以外に遊んでいるところは? 共鳴はね、僕は知らされていなかった。 - 川住
- 遊んでいる余裕がなかなか無いっていうのも(笑)
- 大山
- じゃあ、ほんとに共鳴はこだわりで、やろうと思ってやった?
- 川住
- そうですね。そこは全曲通してのこだわりとして「共鳴」。
あとは、同じタイミングで音符が入っているなってところは合わせたりとか。石川由衣さんの【祈りの音色】と日笠陽子さんの【極夜氷雪】のサビの「魂」のところとか。うーん、遊び……。 - 江幡
- 必死だったよね「母音がこれで……」と、途中で一緒に言葉を出し合ったりもしたし。違う考え方でアプローチすると「その方向もあったのか」ってなると思ったんです。
- 川住
- だいぶ江幡さんに相談しました。使える脳みそは多い方がいいからね(笑)
1曲として単体で成立させなきゃいけないので、そこも難しかったですね。やっぱり歌詞って起承転結とまでは言わないですけれど、何か必要なんですよね。流れみたいなのが。いろんな制約がある中でどう流れを作るか、針に糸を通すような感覚で……。
例えばnicamoqさんの【秘鍵の記憶】は「見つめよ月」のあと「祝し太陽」ときて、『月と太陽』で「ああ詩っぽいね」とか。
玉置さんの【道化】は「悲鳴で希望踏み」「嗤って誓い削ぐ」「怒りの目」「黄泉よりの涙」で『喜怒哀楽』とか。そういう単体の詩としてのテーマがうまく出ると嬉しいみたいな。 - 江幡
- 月と太陽は、たしかあれ最初の言葉は外国語で……。
- 川住
- そう。いただいた指示の中の1つに「あまり外国語を使わない」みたいなのがあって……。
- 江幡
- 日本語って基本1音1文字なんですけど、外国語って1音にたくさん入るんですよ。
例えば「道/way」が「う・ぇ・い」じゃなくて「ウェイ」って1音で表現できるんです。そうすると、意味をたくさん詰め込められるんですよね。そういう技を封印されて「何か1音で意味のある言葉を入れたいのに、その1音に入れられない」ということが生じてくるんですよね。 - 川住
- 「コード」も、最初は普通に「コード」って書いていたんですけど、『系譜』って書いてそう読ませて欲しいっていうオーダーがきたりとか。結構難しかったです。
現実世界と【フェアリーフェンサー エフ】の世界は違うので、あまり固有名詞を使わないでほしい。鳥はいいけどニワトリはダメみたいな。 - 江幡
- 「ニワトリはさすがに“攻めすぎ”じゃない?」「ダメかー」「ダメだよ」みたいな話をしてたんですけれど…川住さん煮詰まっちゃってるから「とりあえず1回訊いて欲しい」というので、無理とは思いつつ提出して…やっぱりダメでした(笑)
- 川住
- ありましたねー(笑)
- ――ユーザーに楽曲を意識して聞いてほしいポイントはありますか。
- 大山
- まだゲームはしていないですけれど、テスト版を見せてもらって。すごいですよね。2人になっちゃうと。
最初のティザームービーが、すごくいい感じにじわじわってきて白と黒が混ざって「あれ? 切り替わってる」っていうのが。家族にも見せましたけど、伝わってました。「おおー! あー、変わってるー」って言って(笑) -
- 北野
- 「こういう映像の見せ方をすると楽曲が合わさってきてるように感じるんじゃないか」とか、何度も揉みました。
- 大山
- いつの間にか切り替わってるんですよ、あの映像でいうとね。あれ、面白いなと思って。
- 江幡
- そう考えると、やっぱり違和感や差異があってはダメなんですよね。「こっちショボくね」ってなっちゃうといけないので…うまくバランス取れているようで、ちょっとホッとしますね。
- 大山
- とはいえ「合体する」ってことが普通ピンとこないと思うので、実際にゲーム中で聴いてもらうしかないですよね。「よく聴くと片方で対等に何か流れてる。これってひょっとしてあの曲?」って気づいた時のあの衝撃? それが72通り?
- 北野
- そうですね6曲 × 6曲の36通りと、どちらが先になるかでアレンジも違いますからね。
ゲームの中だと、グラースがどの歌をバトルに持ってきているかとか、自分の方は場面によって歌(=バフ効果)を選ぶので、毎回組み合わせが変わるんですよね。 - 大山
- じゃあ、全部を聴けないで終わる可能性もあるんですかね。
72通りを体験せずに……運もあるし、大変なことだってことですよね。 - 北野
- 可能性だけで言うとあるかもしれませんね……幅が広い分。なので、新しい歌を手に入れて興味をもっていただけたら、「いろいろ聴いてみたいな」と試してみて欲しいです。
- 大山
- その、楽しみ方は画期的ですよね。なんとかして72通り全部聴いてほしいですよね。
- 江幡
- 総当たりしてほしいですね(笑)
- 北野
- あとは、宣伝じゃないですけど限定版の特典としてサントラもついていて。そこにはまず歌姫楽曲の12曲が入っていますし、デジタルデラックス版の方には、マッシュアップverの楽曲も入っています。
楽曲でいうと、そういう特典とかにも入っているんですけど、やっぱりバトルをやっている中で「かかって・混ざって・テンションがあがる」っていうのは、やっぱりプレイして体験するのとは全然感覚が違うので。 - 大山
- できれば特典ではなくてゲーム内で聴いてもらいたいですよね。
- 江幡
- 「ワッ!」て、なってもらいたいですよね。
もしかすると、インタビューを読んでいただいているだけだと、「何を言ってるんだろう」って思ってらっしゃるかもしれない。「マッシュアップって何だろう」とか。
でもきっと、ゲームの中で聴くと「ああ、これだったか!」って気づいてもらえるんじゃないかなと思うので、発売が楽しみです! - ――最後ファンの皆様に一言おねがいします。
- 大山
- 合体したとき僕は衝撃的だったんです。ぜひゲーム内で体験していただいて、あの衝撃が味わえたらSNSでコメントしていただきたいなと。「これ衝撃的!」って。
- 川住
- 今回、歌姫が出てきたりとか、音楽が大事な軸の一つになっていると思うので、我々のほうでも音楽の力でゲームを盛り上げていけたらなと思っています。 楽しんでいただけたら幸いです。
- 大山
- 音楽をこんなにゲーム内で重視していただけるっていうのが、光栄なことだと。 本当ありがたい……。
- 川住
- でも、気張って聞いてほしいわけではなくて、自然に楽しんでいただけたらいいかなって。
- 大山
- そう。よく聴くと凝ってるんだぞって(笑)
- 江幡
- SNSで楽しい感じを呟いていただけたらエゴサしにいきます!
「これとこれの組み合わせが好きだったー」とかね。 - 大山
- 外国の方にも人気の作品なので、日本語がわからないと歌姫楽曲はどういう感想なのか聞いてみたいですよね。
我々は言葉として捉えられるので「おお」ってなるけど、逆に違和感なく聴けちゃうかもしれないしね。 - 江幡
- あれ、本当だ、どんなふうに聞こえるんだろ……。
- 北野
- 今回は、単にゲームの中でこういう特殊な楽曲を聴けるっていうだけじゃなくて、ゲーム性にもしっかり絡んだうえでマッシュアップ楽曲というものが入っています。ゲームを自然に楽しんでプレイしている中で『歌』というのが出てきて、さらに歌と歌が混じりあって、戦闘している中で気持ちが盛り上がる。そういうものを実際に体感してほしいなと思います。 みんなでチャレンジしたものにはなっているので、ぜひゲームで楽しんでいただきたいなと思っております。
- 江幡
- そのマッシュアップ、ローマ字で書かれた白と黒の歌詞が流れてくると、母音が近い感じで並ぶんだろうなと思ったら、某笑顔動画とかで見てみたいですね。
- 大山
- 解説する人が現れるか……?
- 北野
- やってねっていうフリに聞こえますね(笑)
- 大山
- 先ほどの12連の譜面を送りましょうか。(※譜面は前編に掲載)
- 川住
- 書きかけのバージョンなので、最終の歌詞とは違う部分もあるんですけど。
- 大山
- メモとかが書いてあるくらい?
- 江幡
- たぶん「ニワトリ」って書いてある。
- 川住
- 書いてないよ!(笑)
全然見たことない漢字ばっかりでした
安心して聴いていられる現場でした
鳥はいいけどニワトリはダメみたいな
いつの間にか切り替わってるんですよ
コメントしていただきたいなと。「これ衝撃的!」って